そばにいるね
今年に入り、諸塚村では「集落点検」なるものを実施しています。
この「集落点検」は、諸塚村の新しい総合長期計画を策定する上で重要なもので、村内の各集落の
状況を把握し、将来の集落のあり方を住民の方自らも検討していくことを目的としているんです。
先日、数ある地区の中から3地区(戸下地区・川内公民館・桂地区)をモデルとして選び、この集
落点検が実施されました。今回はその中から戸下地区をレポート。
↑ 戸下地区での集落点検の様子
スクリーンの前に立って話をされている方は、村が今回の集落点検をお願いした熊本大学の徳野
教授で、村の集落支援員になっていただいているんです。
↑ 徳野教授(写真左)とサポートするゼミ生(7名)の方々
徳野教授は、日本の集落のあり方について研究されており、各地で「T型集落点検」という手法
を用いて農山村の分析を行ってらっしゃいます。
この「T型」の意味。
いったいどういう意味だと思われますか?
徳野教授の名前にちなんで「T」とする説もありますが、現在の家族構成の形が「T」の字になること
から名付けられたという解説もあるんですよ。
前者の場合私がやっても「T型」になりますので、やはり後者の説が有力でしょうかね。
今回の集落点検に先立ち、1月には役場職員を対象とした研修会も実施されましたよ。
不覚にも!?一番前に座った私でしたが、徳野教授の貫禄と体が固まってしまいそうな凝視、そして
興味深い話 の連続のためか一度も睡魔が襲ってきませんでした。
↑ 職員研修の様子
徳野教授は一人一人の目を見て話されるので説得力が増しますね。
さて、この「T型集落点検」。
具体的には何をやるのかというと、地域の方に集まっていただき、まずは各世帯の家族構成や年齢
を聞き取りながら地域の地図に落としていきます。
そして、現在地域に住んでいる方を黒字、外に出ている方は赤字で表記した上で、各家族と地域の
状況を分析して課題を探していくんです。
↑ 手作りの地図に、世帯毎の家族構成図や年齢を加えていきます。
戸下地区の点検の結果、徳野教授の分析ではあと15年~20年は大丈夫!とのこと。
と言うのも、60代の方でも山間部ではまだまだ現役で、家族構成や村外に住んでいる方の分布
等を見ても安心できるそうなんです。
そして、何より独居世帯が一つもないことには徳野教授も感心されていました。
孤独死が問題とされる都会よりも、人口の少ない山間地域の方が独居世帯は少ないというのも
興味深いですよね。
徳野教授の集落点検で頻繁に耳にするキーワードは「他出子」(たしゅつし)。
主に地域を離れて暮らしている子供さんを指す言葉で、この他出子がどこに住んでいるのかを見るの
も一つのポイントになっているのですが、集落点検をしてみると、この他出子は案外そんなに遠くに
は行っていない場合も少なくないんです。
例えば、諸塚村の場合は、1時間圏内の日向市や延岡市等に住んでいるという方をよく見聞きしま
すし、戸下地区出身で他地域に住んでいる21人のうち、14人は県内在住であることもこの点検でわ
かりました。
徳野教授の集落点検では、この「他出子」の方々をいかに地域の活動に取り込んでいくかを考
えていくんです。
同じ諸塚村内でも村中心部に行くのに半日かかった時代と違い、車社会の到来で行動範囲が広が
った現代では、「地域」や「家族」の生活空間そのものも拡大しているのかなと思うことがあります。
実際に諸塚村でも、日向に住んでいる息子さんが稲刈りや神楽の時期には帰ってきて手伝いや活
動に参加しているという状況もあります。
何かやる時には「いつもより人が多いな~」と感じるのはこういった背景があるからでしょうか。
ただ、いくら他出した方が比較的近くに住んでいても、母体となる「家族」や地域との関係が絶たれて
しまっては意味がないのかなと個人的には思うんです。
かく言う私自身も我が家の他出子の一人で、なるべく実家の都農には帰るようにしていますが、諸塚
村との違いを強いて挙げれば、都農に帰っても地域活動等とはつながりがないんです(父が参加して
いるので・・・・)。
やはり、小さい頃から地域コミュニティのつながりが強い諸塚村で育った方は、「他出子」と言っても
実質的には他出していない方も多い・・・・・・・・・。そう感じることがありますね。
案外そばにい~る~ね・・・と感じた今回の集落点検の結果は、私が諸塚村に来て投げ続けている
モヤっとボールの容器を少しだけ浅~くしてくれました。
まだまだ奥が深い分野なので、当然「答え」ではありませんが・・・。
次回の集落点検も楽しみです。
